Book: ダレン・アーモンド “The Civil Dawns”

 
 
イギリス人の現代美術家ダレン・アーモンドは、立体や映像作品のほか、自身の作品に写真を用いることでも知られています。本作『The Civil Dawns』は、クロード・モネの象徴的なジヴェルニーの庭を夏と冬に訪れて撮影した「Civil Dawn@Giverny」と、霧がかった比叡山を撮影した「Civil Dawn@Mt. Hiei」の2つのシリーズから構成されています。いずれもが、夜が終わり朝の光が差し込もうとする、その最初の光で撮られています。

「Civil Dawn@Giverny」は軽やかな光を放ち、まさに夜が終わっていく時間帯のモネの庭の花や植物を、自然なアプローチで切り取っています。ほんの数分間をいまでは廃盤となった大判ポラロイドで写すことで、まるで印象派の画家へのオマージュのようにイメージを定着させています。「Civil Dawn@Mt. Hiei」は日本を舞台としていますが、日本の文化と自然はかねてからアーモンドに創作のインスピレーションを与えてきました。アーモンドは1990年代より日本を訪れ、旅先で出会った風景や出来事に着想を得た作品を制作しています。

彼が写した朝の薄明かりは、観る人を魅了する柔らかな光を放ち、たとえ人が写っていなくとも、そこにはノスタルジーを思い起こさせます。時間は不変で、時は悠久に刻まれていく。彼はその刹那を、毎秒ごとに正確に時を刻む時計と対比する方法で、写真を通して私たちに語りかけています。本書ではアーモンドの写真から抽出した2色をベースに用いています。2つのシリーズが溶け合い1冊の写真集となることで、プリントとはまた違う写真の魅力に出会えるでしょう。

 
 
ダレン・アーモンド『The Civil Dawns』
デザイン:田中義久
テキスト:堀江敏幸
仕様:A4変型/ハードカバー/84P
言語:日本語/英語
定価:4,800円+税
ISBN978-4-907562-01-4
初版:500部
版元:torch press
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ダレン・アーモンド
Profile:1971年、イギリス中西部の鉱山の町、ウィガンに生まれる。ウィンチェスター美術学校に学び、現在はロンドン在住。シカゴのルネサンス・ソサエティ、ア ムステルダムのDe Appel、ロンドンのテート・ブリテン、チューリッヒのクンストハレ・チューリッヒやデュッセルドルフのK21といった主要な美術館での個展の他、ベル リン・ビエンナーレ、ヴェニス・ビエンナーレといった国際展にも多数参加。2005年にはターナー・プライズにノミネートされた。2013年に水戸芸術館で個展「ダレン・アーモンド 追考」を開催した。

 

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