笹本晃 ラボラトリー
笹本晃
¥3,000 (+tax)
2025年11月中旬刊行予定
 
東京都現代美術館で開催される個展「笹本晃 ラボラトリー」の展覧会図録として刊行する本書は、笹本晃の 20 年にわたる活動を回顧的に検証した初のモノグラフとなります。
笹本はニューヨークを拠点に、造形表現とパフォーマンス・アートを往還しながら活動を重ねてきました。自身のアイディアを伝えるのに、2000年代半ばからパフォーマンス、ダンス、インスタレーション、映像など、必要なメディアを横断的に用いた作品を手掛けています。特に、自ら設計・構成した彫刻/装置/造形物を空間に配してインスタレーションを創り出し、その中で自身がその環境の構成要素の一つとなって即興的なパフォーマンスを行うスタイルで広く知られています。日常的な所作や行為に、私小説的なエピソードを絡めた軽妙な語りを巧みに組み合わせつつ、初期作品では、癖や習慣、行動パターンなどの分析 から個人のパーソナリティの有り様を考察し、また近年は、気象や動植物の生態などを観察の対象として、作品構造やナラティブ(物語)に採 り入れてきました。展示会期中に複数回行われるパフォーマンスの前後 には、空間はインスタレーションとして鑑賞されます。
 
タイトルの「ラボラトリー」は、実験、演習あるいは研究のための空間を指します。鑑賞者が、美術館のホワイトキューブ内で笹本とその作品の生態を観察し検証する機会という意味合いとともに、この世界で起きる大小さまざまな現象について、注意深く観察し、分析しようと試みる、笹本の視点を示唆しています。本展では、初期のパフォーマンス/インスタレーションの代表作から、造形物自体のキネティックな要素が強まる最新作まで、独自の実践を重ねてきた笹本の異才とその作品を、動的に検証します。
本図録は、出品作品を中心として笹本晃のミッドキャリアを概観するモ ノグラフ(これまでの作家の活動を包括的に検証する図録)となり、作家の言葉、高野ユリカによる撮り下ろしのインスタレーション風景、ティム・グリフィンと担当学芸員による論考、活動年譜など、充実した内容を収録しています。
展覧会
「笹本晃 ラボラトリー」
2025 年 8月23日(土)〜11 月 23 日(月)
2026年7月、国立国際美術館(大阪)に巡回
仕様:257 x 185 mm/並製(クータバインデング)/192P
執筆:ティム・グリフィン(キュレーター)、岡村恵子(東京都現代美術館)
デザイン:木村稔将
言語:日本語/英語
定価:3,000円+税
発行:torch press
ISBN:978-4-907562-58-8
発行年:2025
笹本 晃(ささもと・あき)
1980 年神奈川県に生まれ、10 代で単身渡英。その後アメリカに移り、ウェズリアン大学でダンスや美術を学ぶ。2007 年にコロンビ ア大学大学院(ニューヨーク)より芸術学修士号取得。現在はイェール大学芸術大学院彫刻専攻で教鞭を取り、専攻長を務める。主な個展に、スカルプチャー・センター(ニューヨーク、2016年)、クイーンズ美術館(ニューヨーク、2023-2024 年)、パラサイト(香港、2024 年)がある。横浜トリエンナーレ(2008年)、ホイッ トニー・ビエンナーレ(2010 年)、第 9 回光州ビエンナーレ(2012年)、第 11 回上海ビエンナーレ(2016-2017 年)、第 3 回コチ=ムジリス・ビエンナーレ(2016 年)、国際芸術祭あいち(2022 年)、第 59 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2022 年)など多数の国際展に出品。2023 年、アレクサンダー・カルダーの才能を反映する革新的な彫刻作家に贈られるカルダー賞を受賞。











 
		 
		