多田美波―光、凛と ゆれる
多田美波
¥3,500 (+tax)
9月上旬発売、予約受付中
東京都現代美術館では、戦後日本において抽象彫刻家・造形作家として活躍した多田美波(1924–2014)の大規模個展を開催されます。本展覧会にあわせて公式図録を刊行します。
生涯でおよそ200点の彫刻作品と、500点に及ぶ建築関連作品を手がけた多田は、美術館という枠にとどまらず、公園、駅、市庁舎、ホテル、劇場など、都市のさまざまな場所に作品を残し、長年にわたり人々の生活空間の一部を形つくってきました。空に向かってすらりと伸びていくようなステンレスの彫刻や、自然の景観に心地よく馴染むガラスやアクリルの彫刻、あるいは色とりどりの光を内包する「光壁」など、その表現は素材・スケールともに多岐にわたります。
多田は、高度経済成長期を背景に普及した工業素材や加工技術を、芸術表現に積極的に取り入れた先駆的作家のひとりです。制作の手跡を感じさせない無機質な表面に、光の反射や透過、屈折、揺らぎといった有機的な要素を取り込み、移ろいゆく周囲の環境や鑑賞者の動きと呼応して表情を変える造形を生み出してきました。なかでも多田は、光を単なる効果ではなく造形の中心として据え、美術、プロダクトデザイン、インテリア、建築を横断しながら空間そのものに働きかける実践によって、同時代の潮流のなかでも独自の立ち位置を築きました。その根底には、人間にしか創出できない美としての「第二の自然」を探究する姿勢が貫かれています。
本展では、多田美波研究所の全面的な協力のもと、初期の絵画、各時代の彫刻、作家本人が「光造形」と呼んだシャンデリアを含む照明の作品、およそ70点に加え、建築造形のパーツ、写真、スケッチなどのアーカイブ資料を展観し、約70年にわたる多田美波の仕事をあらためて俯瞰します。本図録では、豊富な図版とコラム、4本の論考から多田の軌跡を多角的に考察するとともに、年表などの充実した資料とともにその活動の遍歴を紐解きます。
展覧会
「多田美波―光、凛と ゆれる」
2026年8月29日(土)〜12月6日(日)
仕様:182×257mm/仮フランス装/232P
執筆:由本みどり、小高日香理、細田雅春、田村万里子
デザイン:畑ユリエ
言語:日本語/英語
定価:3,500円+税
発行:torch press
ISBN:978-4-907562-68-7
発行年:2026
多田美波
1924年、台湾・高雄に生まれ、朝鮮で育つ。高校在学中に朝鮮美術展覧会へ出品し入賞。1944年、女子美術専門学校(現・女子美術大学)西洋画科を卒業し、1956年に第41回二科展、1957年第9回読売アンデパンダン展に油彩画を出品。1957年、東京・炭労会館のためにレリーフ《炭鉱》を制作。1962年、多田美波研究所を設立。代表的な彫刻作品に、半円球のアクリルにアルミニウムを蒸着メッキし鏡面のように仕上げた《周波数37306505》(1965、東京都現代美術館)やステンレスの屋外彫刻《キアロスクーロ》(1979、東京国立近代美術館)がある。建築空間における仕事としては皇居新宮殿の光造形(1968)や約7,600個ものガラスブロックから作られた帝国ホテル 東京に設置された光壁《黎明》(1970)、紫雲をイメージしたリーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクションの照明《瑞雲》(1973)などがあげられる。2014年に逝去。主な国内個展に「多田美波展」(1991、三重県立美術館)、「特別展 多田美波 ―光の迷宮―」(1991、渋谷区立松濤美術館)、「開館40周年記念 多田美波展 ―光を集める人―」(2009、彫刻の森美術館)など。









