The Tide’s Gift
鈴木麻弓
¥6,000 (+tax)
2026年11月中旬刊行予定
この度、鈴木麻弓写真集『The Tide’s Gift』を刊行いたします。鈴木は、2011年の東日本大震災以降、15年にわたって故郷である宮城県女川町に通い続け、「故郷とは何か」という問いを軸に、制作を続けてきました。
女川町で代々営まれる写真館の3代目として生まれた鈴木は、写真と深い関わりを持ちながら育ち、写真が紡ぎ出す物語を通して、表現による解放を信念に感じさせる作品を発表してきました。デビュー作『The Restoration Will』では、東日本大震災で自身と家族に起こった出来事を静謐に受け止めながら前を見つめました。そこから9年の構想を経て生まれた本作『The Tide’s Gift』は、津波で一度全てが一掃されてしまった鈴木の故郷の女川の街を、さまざまな写真や過去の資料を使って編み上げています。本作は2025年に「T3 New Talent」にも選出されました。
大判カメラやデジタルカメラ、ドローンによって時間をかけて撮られた風景や女川に住む人々のポートレート、自身の祖父や父親が写真館で撮影した昔の写真、被災した家族写真、女川町のアーカイブ資料、そして自身による文章。それらを用いて、写真だからこそなし得たビジュアル・ストーリーテリングを、本という形態を通してまとめ上げた複合的な作品集となります。そこには、かつて直面してきた幾度の災害を経てもなお、その土地に住み続ける人たちの時間や歴史が堆積しており、「故郷とは何か」という根源的な問いに向き合い続けて見出したひとつの答えが宿っています。
東日本大震災を起点としながらも、震災の話に留まらず、複数のマテリアルが本の中でそれぞれの時を刻みながら、彼らの声として私たちに語りかけてきます。本全体を表紙が包むような、若林亜希子のデザインが光る一冊となっています。
「そこには断片があり、トラウマがあり、そして消去がある。私たちはそれらを目にする。しかし、そのあいだに横たわる隔たりを知ることはできない。だが、隔たりとしてある「あいだ」を認めることこそが、地理的な境界や文化の差異を越えて、他者へのいたわりへと至る道なのかもしれない。」
―マーティン・バーンズ(本書寄稿文より抜粋)
書籍詳細
仕様:B5版変型/並製本/216P
執筆:鈴木麻弓、マーティン・バーンズ(ヴィクトリア&アルバート博物館写真部門シニアキュレーター)
デザイン:若林亜希子
出版パートナー:Case Publishing
協力:KANA KAWANISHI GALLERY
言語:日本語/英語
定価:6,000円+税
発行:torch press
ISBN:978-4-907562-72-4
鈴木麻弓 (すずき・まゆみ)
1977年、宮城県女川町生まれ。現在は東京都在住。卒業後フリーランスとして、ポートレートを中心に活動。2011年東日本大震災にて、故郷である女川町の7割が壊滅、両親が行方不明となる。以降、故郷へ足しげく通い、地域の人々の前に進む姿を記録し続けている。現在、日本大学芸術学部写真学科准教授。主な個展に「The Tide’s Gift」(2025年)、「豊穣』(2023年、ともにKANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『The Restoration Will/The Place to belong』(2018年、Galeria Miejska Arsenał、ポズナン・ポーランド)、『The Restoration Will』(2018年、SPAZIO LABO、ボローニャ・イタリア)など。主なグループ展に第55回アルル国際写真フェスティバル「Reflection – 11/03/11 Japanese Photographers Facing the Cataclysm」および「TRANSCENDENCE」(ともに2024年、アルル・フランス)、京都国際写真祭『10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭』(2022年、HOSOO GALLERY、京都)、『Biennale de Photographie en Condroz』(2021年、ベルギー)、『あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17』(2020年、東京都写真美術館、東京)など。主な受賞歴にT3 Next Talent ファイナリスト(2025年、日本)、PHotoESPAÑA 2018 Best Photography Book of the Year(2018年、スペイン)、Photobooxグランプリ受賞(2017年、イタリア)他多数。














